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想像できない東京。

2011年06月21日 00:24

 物書きをしていて、舞台設定はいつも悩む。

 僕の基本設定はいつも神戸市だ。理由は簡単。「よく知っているから」。
「こころの軌跡」の舞台は、木戸見原市という架空の都市だが、設定しているのは神戸市の西隣である明石市から加古川市くらいにかけて。「シリーズうはら1989」の「いま、この瞬間から…」と「僕らのMANKEN事情」は甲南市というこれまた架空の都市だが、現実の芦屋市と神戸市東灘区がその部分に相当する。特に「甲南市」は、昭和25年に、現東灘区が神戸市に合併するまで、本当に合併協議されていた都市の名前だ。芦屋市が蹴ったのかどうかは忘れたが、結局空中分解し、当時の御影町、住吉村、魚崎村、本山村、本庄村は、2回に分けて神戸市東灘区となった。「もし、甲南市が誕生していたら」という架空の設定でもある。シリーズ名の「うはら」も、過去にこの辺りが「菟原郡」と呼ばれていたことに起因し、現在の芦屋市を「菟原」という地名に変更しているところからも来ている。

 さて、僕の本棚には、舞台が地方都市になっている物語が結構多い。なかじ有紀先生のものが一番多いのだが、なかじ先生の漫画の舞台は大半が西宮市、芦屋市、神戸市だ。唯一の例外は横浜が舞台だった「RED」くらいだろうか。「青陵高校シリーズ」も大阪府の枚方市が舞台だったので僅かに例外か。今となっては貴重な地上駅時代の京阪枚方市駅が拝めるのもこの漫画だ。
 それ以外でも西宮市が舞台の「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズ。これはよく知っている風景がガンガン出てくるので、「神社」と言われてるのは甲山の麓にある神呪寺だなとか、森林公園は「甲山森林公園」だなとか、読んでいく内に非常に風景が想像しやすくて楽。池は恐らくあの池なんだろう。火垂るの墓であの兄妹が暮らしたのも、同じ池の畔のはずだ。
 あとは、高橋しん先生の「最終兵器彼女」。これも明言はされてないが、北海道の小樽が舞台であることは周知の事実である。

 さて、山と海に囲まれた阪神地区で育ってきた僕にとっては、あのだだっ広い関東平野が想像できないのである。生まれは尼崎だが、芦屋の浜手で育ち、神戸市の東側で暮らしていると、南北3キロほどで山の麓から海まで行けてしまい、東西に細長い街しか想像できなくなってきてしまう。東は西宮、西は明石くらいまで行って、ようやく北が開けては来るが、それもそんなに奥深くない。浜に出てみれば、条件のいい日だと対岸の泉北工業地帯から大阪平野の東の峰である生駒山系がはっきりと見えるくらい、大阪湾は狭いのだ。長江や黄河と言った大河を見慣れた中国人観光客に瀬戸内海を見せると「これは何という河ですか?」と聞かれるのも仕方のない話だと思える。
 関東には三度ほど行ったことがあるが、1回は車での単独行であり、富士山を探している余裕すらなかった。しかも、関東平野のほとんどは夜中に通過してしまい、その広さを体感することはできなかった。あとの1回は鉄道での移動であり、ここで初めて富士山を拝んだくらいだ。それでも、高度がそんなに上がったわけでもないので、ビルに埋もれた町並みを拝見しただけ。それなら大阪で環状線に乗っているのと変わらない。結果、「広い関東平野」を体感したのはバスで関東に行った時だけだった。レインボーブリッジから遠く新宿の新都庁が見え、その奥に何も山らしきものが見えなかった事が一番印象深かった。その奥行きの広さが、テレビなどでは伝わらず、経験して初めて理解できたのだ。だが、たった一回の経験ですべてを理解できるほど街は簡単ではない。大阪でも「キタ」と呼ばれる梅田周辺は学生時代の通学コースだったのでまだわかる。しかし、「ミナミ」と呼ばれる難波界隈、「アベノ」の呼ばれる天王寺界隈は何度行っても全くわからない。通天閣がある新世界付近も、この間初めて行ったという体たらくである。まず、人情が理解できないという部分があるのだろう。「コウベ」「キタ」「ミナミ・アベノ」はそれぞれ全く人情を異にする街である。文化が違うので、理解するには骨が折れる。理解するには、訪れた回数が少なすぎるのだ。
 結果として、よく知らない街である「阪神地区以外」は、僕の創作地図からは消えることになる。リアリティを追求できず、中途半端な創造物になってしまう。それでは、登場人物たちに生き生きと動いてもらうための箱庭にはなり得ない。

 南北に狭い街で育ったせいか、そう言う場所を舞台にしているせいか、山と海の両方をすぐに物語に絡めることができるのが、この神戸の特徴だろう。最も、山はそこにあっても走り屋ぐらいでしか物語に絡めにくいのだけど。
 地元に愛着。
 本当の理由はそれしかないのだろうけど。

 またいつか、今まで書いてきたものの続きを書くにしても、新しいものを書くにしても、きっと舞台が阪神地区から動くことはないのだろう。

 この、南北に狭っ苦しい街が、僕は大好きなのだから。


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